お酒飲んだ次の日は痩せてる!?
こんにちは
ICHORA+を展開してる代表の加々村です。
薬剤師、パーソナルトレーナーの経験を活かし
”健康・トレーニング”の情報を皆様にお届けしたいと思います。
さて、本日は
「お酒飲んだ次の日は痩せてる!?」というテーマでお届けします。
はじめに
昨夜は会合でお酒を飲んだにもかかわらず、今朝体重計に乗ったらいつもより軽い…「ちょっと嬉しい」そう感じるのも無理はありません。
しかし、冷静に考えてみましょう。
脂肪が1日で落ちることは、基本的にあり得ません。
その体重減少の正体は、**水分が抜けただけの“見せかけの変化”**です。
今回は、飲酒による体重減少のメカニズムと、その裏にある身体へのリスク、そして本当に筋肉を育て、強くしなやかなカラダをつくるために必要な視点について、医学・薬学・運動・心理の観点から解説します。
お酒を飲むと体内で何が起きているのか
アルコールには強い利尿作用があります。これは、抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌が抑えられることによって起こります。
その結果、体は多くの水分を尿として排出し、一時的に体内の水分が枯渇状態になります。
体重計の数字が減るのはこのせいです。
これは脂肪の減少ではなく、単なる脱水状態。筋肉にとってはむしろマイナスです。
脱水が筋肉に与える悪影響
筋肉の約75%は水分です。
つまり、水分が減る=筋肉のパフォーマンスが低下するということ。
脱水状態になると、以下のような現象が起こります。
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筋出力の低下(重いものが持てない、走ってもキレがない)
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筋肉の回復遅延(疲労が抜けにくくなる)
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関節や腱の潤滑が減り、ケガのリスクが上昇
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酸素と栄養の循環不良により、筋合成の質が落ちる
つまり、飲酒の翌日に「体が軽くなった」と錯覚しても、パフォーマンスは確実に落ちていると考えるべきです。
飲酒は筋合成を阻害する
さらに見逃せないのは、アルコールが筋肉の合成そのものを妨げるという点です。
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筋タンパク質の合成を抑制
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成長ホルモンやテストステロンの分泌低下
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睡眠の質低下による回復力の減少
せっかく日々の筋トレで全身の筋肉を刺激しても、飲酒によってその努力が相殺されてしまうリスクがあります。
あなたのように仕事にもトレーニングにも全力で取り組む方にとって、このような“無駄打ち”は避けたいはずです。
一時的な変化に惑わされず、本質を見極める
翌朝の体重が軽くても、それは一時的なもの。
水分が戻ればすぐに元通りです。
数字に一喜一憂せず、継続的に代謝の高い身体をつくることが、本当に価値のある目標です。
本当に強い身体をつくるためには以下のような視点が重要です:
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筋肉全体を意識した全身の筋トレ(特に大筋群の活用)
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栄養・水分・睡眠の三本柱を軽視しない
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飲酒はパフォーマンスに影響する「コスト」だと理解する
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日々のコンディションを数字ではなく「動き・出力・集中力」で評価する
飲酒とメンタルの関係──「報酬回路」に騙されるな
心理的にも、お酒のあとに体重が減っていると「飲んでも問題ない」と感じてしまいがちです。
これは脳の報酬回路が強化される仕組みで、習慣化の罠になりかねません。
一度それに慣れてしまうと、「今日は疲れてるから少しくらい飲んでもいいか」と妥協が入りやすくなります。
こうしたメンタルの揺らぎが、長期的には筋量・体力・集中力の低下に繋がることを忘れてはいけません。
まとめ
お酒の翌日に体重が減っているのは、脱水による一時的な現象であり、脂肪が減ったわけでも、筋肉が成長したわけでもありません。
むしろ、飲酒は全身の筋肉にとってマイナス要因が多く、トレーニングの成果を打ち消してしまう危険性があります。
真に強くしなやかな身体を手に入れるには、「数値」ではなく「本質」に目を向けること。
飲み会も大切ですが、自分の身体という“資本”を守る選択も、矜持の一つです。
本当の意味での“引き締まり”とは、数値ではなく、あなた自身の行動と決断によってつくられるものなのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
では、また