カフェインは味方か敵か?―集中力と睡眠から考える上手な付き合い方
こんにちは。ICHORA+代表の加々村です。
薬剤師としての知識と、パーソナルトレーナーとしての経験
そして「良い睡眠こそが明日のパフォーマンスをつくる」という考えをもとに
健康づくり、続けられるトレーニング、そして質の高い睡眠について
“明日の自分を整える”ヒントをお届けします。
さて本日は、
「カフェインは味方か敵か?―集中力と睡眠から考える上手な付き合い方」
についてお話しします。
はじめに
朝起きて、まずコーヒーを一杯。
仕事の合間にも一杯。午後、少し集中力が落ちてきたところでもう一杯。
そんな習慣がある方も多いのではないでしょうか。
私自身、生豆を自身で焙煎するほどコーヒーは大好きです。
一方で、「睡眠のためにはカフェインを控えた方がいい」という話もよく耳にします。
では、カフェインは身体にとって味方なのでしょうか。それとも敵なのでしょうか。
結論から言えば、私はどちらか一方ではないと考えています。
カフェインには集中力や運動パフォーマンスを支えてくれる面がある一方で、摂る時間や量によっては、その日の睡眠を邪魔してしまうこともあります。
大切なのは、カフェインを避けることではなく、その特徴を知ったうえで付き合うことです。
本論
カフェインは「疲労を消すもの」ではない
まず知っておきたいのが、カフェインが眠気を抑える仕組みです。
私たちが起きて活動している間、脳では「アデノシン」という物質の影響が徐々に強くなります。
このアデノシンが受容体に作用することで、眠気や休息を求める感覚が生まれます。
カフェインは、その受容体に先回りするように作用し、アデノシンの働きを一時的に感じにくくします。
つまり、カフェインを飲んだからといって、疲労そのものがなくなったわけではありません。
例えるなら、車の燃料が減っているのに、警告灯だけを一時的に見えにくくしているようなものです。
眠気が減れば仕事はしやすくなります。
しかし、寝不足そのものが解消されたわけではありません。
この違いは、カフェインと上手に付き合ううえで、とても重要です。
集中力やトレーニングでは頼れる存在
一方、カフェインの覚醒作用は、使い方によっては大きなメリットになります。
仕事中の眠気を抑えたり、注意力を維持したりするだけでなく、スポーツの世界でもカフェインは広く研究されています。
持久系運動はもちろん、筋力トレーニングや高強度運動でも、パフォーマンスを後押しする可能性が報告されています。
トレーニング前、中にコーヒーを飲む方がいるのも、こうした理由からです。
朝から集中して仕事をしたい。
午後に大事な商談がある。
今日はしっかりトレーニングしたい。
そんな場面では、カフェインは頼れる存在になり得ます。
ただし、ここで忘れてはいけないのが「その後の睡眠」です。
問題は「何mg飲むか」だけではない
カフェインを考えるとき、
「一日何杯までなら大丈夫ですか?」
という話になりがちです。
もちろん摂取量も大切です。
ただ、睡眠という観点から考えると、私は「何時に飲むか」も同じくらい重要だと考えています。
カフェインは飲んですぐ身体から消えるわけではありません。
数時間経っても体内に残り続けます。
そのため、夕方に飲んだコーヒーが、夜になっても睡眠に影響している可能性があります。
「自分はコーヒーを飲んでも普通に眠れるから大丈夫」
という方もいるでしょう。
しかし、寝付けることと、睡眠への影響がまったくないことは同じではありません。
睡眠時間が短くなったり、深い睡眠が減ったりする可能性もあります。
まずは「最後の一杯」を見直してみる
では、どう付き合えばいいのでしょうか。
私がおすすめしたいのは、いきなりコーヒーをやめることではありません。
まず、
「一日の最後のカフェインを何時に摂っているか」
を確認してみてください。
たとえば23時に寝る方が、夕方17時や18時にコーヒーを飲んでいるのであれば、一度その時間を早めてみる。
午後のコーヒーを昼食後までにして、夜の寝付きや翌朝の目覚めがどう変わるかを比べてみる。
それだけでも、自分がカフェインの影響を受けやすいのかどうかが少しずつ分かってきます。
カフェインへの反応には個人差があります。
だからこそ、「何時までなら絶対大丈夫」という数字を探すより、自分の身体の反応を見る方が実用的です。
午後の眠気を、毎回カフェインだけで解決しない
もう一つ考えたいのが、
「眠いからコーヒーを飲む」
という習慣です。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
ただ、毎日のように午後になると強い眠気が出るのであれば、カフェイン以外にも目を向けてみる価値があります。
前日の睡眠時間は足りているか。
昼食を食べ過ぎていないか。
長時間座りっぱなしになっていないか。
水分は足りているか。
10分ほど歩いたり、外の光を浴びたり、軽く身体を動かすだけで眠気が変わることもあります。
カフェインは便利です。
便利だからこそ、すべてを任せない方がいい。
これは薬と少し似ているところがあります。
良い集中力は、前日の睡眠からつくられる
仕事の集中力を高めるために午後のコーヒーを飲む。
そのカフェインによって夜の睡眠が浅くなる。
翌朝、眠いからまたコーヒーを飲む。
こうした循環に入ってしまうと、カフェインで一日を乗り切っているように見えて、実はそのカフェインによって翌日の眠気をつくっている可能性もあります。
日中のパフォーマンスを考えると、私たちは「今日どう頑張るか」に目を向けがちです。
しかし、集中力もトレーニングも、土台にあるのは休息です。
今日の自分は、昨夜の睡眠の続きでもあります。
だからこそICHORA+でも、日中の着心地だけでなく、リラックスや睡眠という視点を大切にしています。
服だけで睡眠が決まるわけではありません。
カフェインも同じです。
一つの習慣だけですべてを変えようとするのではなく、毎日の小さな選択を積み重ねる。
健康やパフォーマンスを考えるうえでは、そのくらいの距離感がちょうどいいのではないでしょうか。
まとめ
カフェインは味方か、敵か。
答えは、使い方次第です。
集中力を高めたいときや、トレーニングに集中したいときには役立つことがあります。
一方で、遅い時間まで摂り続ければ、その日の睡眠に影響する可能性があります。
大切なのは、
「カフェインを飲むか、やめるか」
ではなく、
「自分は、いつ、どのくらい飲むと調子がいいのか」
を知ることです。
もし毎日コーヒーを飲んでいるのであれば、まず一週間だけでも、最後に飲んだ時間と寝付き、翌朝の眠気を記録してみてください。
貴方にとってカフェインが味方になる時間帯は、何時まででしょうか。
一度、自分の一日の習慣を振り返ってみるのも面白いと思います。
次回予告
次回は、
「ストレスが身体に及ぼす影響とは?心と身体に起こる変化」
についてお話しします。
ストレスというと、「気持ちの問題」と考えられがちです。
しかし実際には、睡眠、食欲、筋肉、免疫、集中力など、身体にもさまざまな変化が起こります。
では、私たちがストレスを感じたとき、身体の中では何が起きているのでしょうか。
次回は、身近なのに意外と知らない「ストレスと身体の関係」を、科学的な視点から見ていきます。
最後までお読みいただきありがとうございます。
では、また